ライン川周辺の古城巡り (写真はすべてクリックすると大きくなります)

ドイツは古城の多い国です。その数
2万とか。オーストリアを含めた10日間の旅行の中で訪ねた古城の数々を僅かですがお伝えしたいと思います。

5月23日フランクフルト空港に到着

翌日リューデスハイムからザンクトゴアへ、約2時間半のライン川クルーズです。

次々に現れる古城は威風堂々としたお城から小振りなものまで、又ブドウの段々畑の直ぐ近くにあるものから、遠く山の上のものまで、形も色も沢山のお城を見ることが出来ます。その中には廃墟と化して佇んでいるもの、ホテルとして内部を改装し使われているものなどさまざまです。

ハイデルベルグ城

 “兵(つわもの)どもが夢の跡”という言葉が浮かんでくる様な石造り、レンガ色のお城、門を入ると四方は朽ち落ちる寸前とも思えるような建物ばかり、頑強さを誇っただろうお城の塔の厚さ、その当時の弾薬の威力なども分かり、17世紀当時の二度の戦争のすさまじさが偲ばれます。

廃墟となりながら堂々として威厳に満ちた建物の一部は城壁1枚だけでその後ろには青空が透けて見える所もあります。威風堂々としているから余計に物哀しい姿にはゲーテを始め沢山の詩人、画家達が魅了されていますが、今回の古城の中で私も一番胸に迫ってきたお城です。

今は廃墟同然となったレンガ色のハイデルベルグ城は14世紀始め築城が始まり、増改築を重ね、ゴシック、ルネッサンスの建築様式が残っている建物です。

お城の地下室にはとても大きなワイン樽があり、横には階段があってそこを登らないと樽の上まで行けないほどです。14世紀に出来たドイツで一番古いハイデルベルク大学は街の中に溶け込んで一体化していました。


ホーエンシュバンガウ城

バイエルン王ルートヴィッヒ2世の祖父が改築して住んでいたお城でルートヴィッヒ2世も子供のころから住んでいて、小山の上にお城、そして湖や森に囲まれたこじんまりした黄色く見えるお城です。



ノイシュバンシュタイン城

今回の旅行ではルートヴィッヒ2世の3つのお城を見学するのが目玉の一つでした。

このお城は近代化が進展する19世紀後半に、17年の月日をかけて、彼によって建設されました。

ヴェルサイユ宮殿に憧れ、「私自身の作品」として、中世の騎士の物語に傾倒した王により憧れを具現化するために建設されたお城です。お城の内部はお金に糸目をつけない様な家具調度品が置かれ、外部はとてもロマンティックなお城で、白鳥城とも言われます。

でもこのお城に彼が住んだのは僅かに102日間で、王はヴェルク城に軟禁されてしまいました。

彼は他にもリンダーホーフ城、ヘレンキムゼー城、の建設を始めていました。

その為王室公債などを乱発して借金を積み重ね、国家財政を顧みない城造りに、ルートヴィッヒ2世を形ばかりの精神病鑑定にかけ、彼は統治不能者としてヴェルク城に軟禁されたのです。その翌日王は主治医とシュタルンベルク湖畔を散歩中、謎の死を遂げました。

(死因については未だにいろいろな説があるようです)

このお城は未完成部分を残したまま工事は中止され、その直後から内部は一般公開されるようになりました。

内部は前に見たヴェルサイユ宮殿を少し小さくしたような規模でその豪華さは優るとも劣らないものでした。でもお城の庭には人工的に鍾乳洞を造った洞窟があったり、内部の金にあかせた豪華さも彼の精神の不安定さを感じました。

何不自由ない立場で、これだけの美的感覚を持ち、でも彼はどんな物を完成してもきっと満たされることのない焦燥感を絶えず持ち続けていたのではないだろうかと、哀れを覚えました。

ノイシュバンシュタイン城の外観は本当に優美で、順番に並んでバスに乗り下りてからも結構歩いて到着したアーチ式の少し揺れるつり橋、マリエン橋から見るお城は、断崖絶壁の上に建ち山の木々の緑の中白亜のお城がくっきり浮きあがり、ディズニーランドにある眠れる森の美女の城のモデルだと後で知ったときこれ以上のモデルを探してもないだろうなと実感しました。

リンダーホフ城

ルートヴィッヒ2世が手がけたお城の中で唯一完成したお城です。

リンダー(菩提樹)、ホフ(館)、菩提樹の館、ドイツバイエルン州の南部、ドイツアルプスの森の中のお城です。到着した時、森の中にひっそり佇む質素なお城 の印象だったのですが、一歩中に入ると見事な庭園が目に飛び込んできました。森にすっぽり包まれ、正面の美しい庭園と後方のアルプスの雪をかぶった山並で美しさを造り上げていて、庭には沢山のブロンズ像があり、人魚を模したブロンズ像、沢山の金色の像には権力の象徴のような感じを受けました。1時間に一回上がる噴水は見事でした。室内に入ると、そこは別世界のように金をふんだんに使った豪華さで、ヴェルサイユ宮殿のトリアノン宮殿を模して造られたようです。

ビーズ教会
ビーズ教会は世界遺産にも登録され、ヨーロッパでも最も美しい教会のひとつです。放置されていた「鞭打たれるキリスト像」内部は色のついた大理石で飾られてまさに豪華なもので、今回の旅で私が最も気に入ったひとつでした。
 高い天井画はどれも同じ手法だそうですが、高い足場を組み寝ころんだ状態で天井に描いていくそうです。絵具が顔の上に落ちてくるのを防ぐために刀のつばのようなものをつけるそうです。大理石もそのまま使う以外にわざわざ粉にして色を混ぜて色々な淡い色を作り出すこともするそうです。これらは豪華なお城の内装に使われています。




ヘレンキムゼー城

バイエルン州のキームゼー湖に浮かぶ無人の島、ヘレン島に建てられたお城です。小さな舟のみで訪問出来るお城で、その日はなかなかの暑さで、港についてお城までの道のりを木陰を探し汗をふきながら行きました。

ルイ14世を崇拝していたルートヴィッヒ2世がヴェルサイユ宮殿を模倣して造らせたお城は完成することなく、彼の死と共に建設が中止されました。もし完成していれば彼の3つのお城の中で一番大きかったようです。お城の中は兎に角豪華で、ヴェルサイユ宮殿の「鏡の回廊」よりこちらの方が大きいとか。

食堂ではマイセン陶磁器の世界一巨大なシャンデリアがぶら下がり,地震国の日本では考えられない様な室内調度の数々の品は素晴らしいとしか言いようがありません。庭も木立の奥にキムゼー湖が望まれ、風光明媚です。

ルードヴィッヒ2世の3つのお城を訪ね、これだけの費用をかけ、全ての権力を集中して、夢に突き進めた王の力とはどれ程のものだったのだろうと改めて驚嘆しました。禁治産者となり国をつぶしたけれど、今ドイツの古城観光の最大のドル箱になったと地下で彼が知ったらどう思うのでしょうか。

ニンフェンブルク城(ミュンヘン)

ヴィッテルスバッハ王家の夏の離宮でルートヴィッヒ2世の生まれたお城です。

庭園は広大で建築物も豪華でした。又身分を問わず美人ばかり集めて描かせた36人の美人画の部屋もありました。

ミラベル宮殿(ザルツブルグ)

宮殿自体は白い学校の様な雰囲気で派手さはありませんでしたが、庭園は素敵で行った時は丁度バラが満開で、花壇や噴水、彫像が配された庭はさすがに外国人の結婚式も沢山行われるはずだと納得するくらいきれいでした。

ドレミの歌で知られたサウンドオブミュージックの舞台にもなり、世界で最も美しい町の一つと言われる所です。庭園からはホーエンザルツブルク城塞が望めます。

シェーンブルン宮殿(ウイーン)

ルイ王朝が築いたヴェルサイユと並び称されるヨーロッパ屈指の大宮殿です。

ハプスブルク帝国の女帝マリア・テレジアによって改築された宮殿建築の傑作です。1441室と言われる部屋数と内部の豪華さとそれに観光客数ともに圧巻でした。


ガイドさんの後に付いて説明を聞いているだけで、あまりの膨大さに印象が希薄になってしまいました。
フランス革命でのマリー・アントワネット、19世紀ヨーロッパ一の美貌と言われた皇妃エリザベートなど波乱にとんだ人生を送ったハプスブルク家王女たちの部屋は印象に残りましたが。

10日間雨にも合わず、恵まれた旅行で古城以外にも見るべきものは多々ありましたが今回は古城と宮殿に絞ってみました。

                                    H20.6.15   田中公子

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