「ザ・グルゾン・ファミリー」

 みなさん 坪田裕子さんと言う同級生を覚えておられますか?私は名前だけしか知りませんが最近彼女が書かれた本を読みました。非常に面白いので簡単にご紹介しようと思います。

「ザ・グルゾン・ファミリー」と言うタイトルで、グルゾンは彼女がアメリカで結婚されたドイツ人男性の方の名前です。坪田さんは津田塾に入学後、3年の時に海外留学でアメリカに渡られました。
 カンザス州のベネデイクテイン大学で経済社会学の学士号を取った後、ニューヨークのコロンビア大学で修士・博士号を取り、更にドイツのベルリン大学経済経営学科卒を卒業と言う経歴。
 仕事は国連に勤めた後ヘッドハンテイングの会社に移り、更に現在は会社を経営されています。本では彼女の留学時代の苦労、ご主人との出会いと結婚、
6人の男の子を育てながらフルタイムで仕事をする猛烈お母さん。育児論もあれば仕事での苦労話、ファミリーとのお話など話題は多彩です。
 一方ご主人の病気の発症と看病、立派な弁護士だったグルゾン氏が亡くなるまで平然と仕事を続けられた話など
過去と現在を交互に書きながら上手な文章で読み手を引っ張ってくれ、あっという間に読み終えました。

 この本の目的のひとつはご主人が倒れた悪性の脳腫瘍を研究する医者達を支援する「グルゾン・ファンド」を支援する為のものであります。この部分は彼女と親しい宮本貴子さんに一文を書いて頂いたものを最後に載せさせて頂きます。私がこの本で面白いと思ったところをほんの一部分ですが以下に転載します。

「・・・・・とくに私と夫は異文化結合の共同体であったため、二つのルーツをつねに子どもたちにも忘れずにいてほしいという意識が強かった。六人の息子に日本国籍を持たせたのも、その意識のあらわれである。・・・・わが家の“ドイツルーツ部門担当”であった夫は、つねに動じることなく、子育てにも自分のやり方をつらぬいていた。大きな声でどなったり、手を上げたりは絶対しなかったが、逆らいがたい威厳をただよわせていたので、小さいころの子どもたちにとってはかなり煙たい父親であっただろう。夫はよくこう言っていた。“いつも六人まとめて団体行動というのはよくないよ。それぞれ個性を、よく見てやらないとね”・・・・・」

       The Gruson Fund for Brain Tumor Research & Care

 坪田グルソン裕子さんとご家族は、脳腫瘍の中でも難病のグリオブラストーマで亡くなられたご主人の(自分と同じ病気の人々が助かる治療法の研究をサポートする基金を創って欲しい)との願いを基に、2006年1月に設立されました。

 アメリカ、ドイツ、日本他各地からの善意の寄付金をもとに、毎年、Cornel 医科大学で Michael Gruson    Memorial Lectureship を開き、国内外の脳外科のスペッシャリストの講演、交流、若い研究者の留学の奨学金にあて、脳腫瘍の研究をサポートしておられます。

 10月1日にはTsubota Gruson Memorial Golf Classic ( チャリテイゴルフ大会)がニューヨーク郊外で開催されました。 坪田さんと家族ぐるみのお付き合いをされてきた時岡寛子さんと私は9月29日から坪田さんのお宅に泊めて頂き、私はゴルフにも参加させて頂きました。 104人(ドイツからも、脳外科のドクターも参加されていました)もの参加者で、長らく国際金融弁護士をしておられたご主人の御人徳が偲ばれました。 ゴルフの下手な私も主にチームプレイで競い、ブービーとかも無かったので何とかホールアウトできてほっとしました。

 ゴルフイヴェントは福引、サイレント オークションもあり楽しい雰囲気でした。

 夕食の時に坪田さんの(脳腫瘍は国、性別、年齢を問わず、突然、誰にでも起こりうる)とスピーチが始まると、福引の商品でキャッ キャッ と楽しんでいた一同は一瞬 シーンと静まり、感動と賛同の大きな拍手が沸き起こりました。 私も悲しみを越え、人類への貢献に奔走されている坪田裕子さんにいつまでも拍手を送りました。          

                                    宮本 貴子

  

最後に少しの補足です。坪田さんは私など大学に入って麻雀などに明け暮れていた頃、既にアメリカに渡って厳しい勉強をされ、外国人と交流をされていました。上記写真は本の表紙にあったファミリーの写真で少しボケてしまいましたが、左端がグルゾンさんと坪田さんです。この本の紹介が漏れましたが発行元は文芸社で1,575円です。グルゾンファンドへの寄付でも結構ですが、この本を買うことで多少とも貢献が出来ます。また、坪田さんが歩んで来られた凄い人生が少しは分かりますので興味のある方は是非どうぞ。

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