首都圏同期会・蓼科紀行

                                         7組  和泉 守 記 

足かけ3年前から、茅野市三井の森の松影さん宅でバーベキューを楽しむ

首都圏同期会をやろうという計画があった。

今回その計画が実現して85日から一泊二日の同期会旅行で旧交を温めた。

               

201085日(木)快晴

 

 920新宿バスターミナル発の高速バスと、900発「あずさ9号」に分かれて出発し、高速バス「中央道富士見」で

参加者全員が揃った。今回の参加者は、マイカーを提供してくれた田中信昭さん、JRで11時過ぎに到着した橋本朝海さん、

小泉さん(2名)、高速バスの吉永さん、砂川(所司)さん、小橋さん、松浦さん、広岡さん、福知さん、和泉、神戸から

遠路参加の井上(佐々木)さん(8名)、準備で前日移動した原田さん、今回ホスト役の松影さんの計13名であった。

 

 さあ昼食。松影車の先導で田中車が続き、北上してお奨めのそば処「乙事亭」(おっことてい)を目指す。

 信州そば「きりだめそば」と高原野菜の天ぷらを堪能した後、さらに北上。ビーナスラインを軽やかに走って、眼下に

白樺湖を見ながら、車山の麓に到着。さっそくリフトに乗る。4人がけのリフトに3人ずつゆったりと座って上を目指す。

降りてくる小学生の一団と声を掛け合う。さながらおじいさんと孫の語らい。親近感は抜群。

 

 1925mの車山頂上からの360度パノラマの眺めは素晴らしかった。雲は少しあっても晴れわたった空。東には蓼科山

2530m)と八ヶ岳連峰が広がる。北は美ヶ原、西は雲の向こうに中央アルプス、南はるかに南アルプス。

 帰りは白樺湖でひと休み。湖畔に立つと意外に小さな湖の周りにはホテルが立ち並び、山に囲まれて落ち着いている。 

 

あとは一路、ペンションを目指す。一旦荷物を置いて、松影いわく「近く」の日帰り温泉「縄文の湯」に。ただし10

だけで、2人はバーベキュー準備の助っ人で松影邸へ。助っ人は前日から来ている幹事の原田さん、昨日入湯済みと。

もう1人は福知さん。「湯につかるという感覚が分らん。興味なし」と。

ともあれ10人は「縄文の湯」で汗を流し、

勇躍松影邸に向かった。

 

15メートルはあろうと思われるカラマツが真っ直ぐに空に伸びている。

そんな樹木に囲まれた、広大な八ヶ岳山麓の

一角にある松影邸。一軒一軒が広い敷地を持ち、隣の家は遠く離れている。

 

「昭夫さん」。夫人が呼びかけるやさしい声が森の中に響く。

蓼科同期会の参加者12名は、松影夫人の呼びかけに思わず我が耳を疑った。ほとんどの人が、名前で呼んでもらえる

という、そんな幸せを経験していなかったからであろう。ひとしきり連合いへの呼びかけかたで話がはずんだことは

言うまでもない。松影夫妻それぞれお手製の料理とバーベキューに舌鼓をうち、ビールに冷酒(真澄)、ワインに焼酎、

スコッチモルトと、好きなお酒を味わう。大病を経験した松浦武弘さんは静かにウーロン茶。陽はまだ沈まず、明るいテラス

でいい心地になる。バーベキューの食材は、もちろん地元の高原野菜が目玉。タスマニアン・ビーフも柔らかく

ジューシーで好評であった。自宅では、健康管理のためとて肉類をことのほか制限されている男性陣にとっては至福の

パーティーであったと言えよう。

 

 出身中学校に話が及ぶと、吉永さんの昔の情報で盛り上がり、田中信昭さんと松影昭夫さんが大学時代に摩周湖で

泳いだ秘話を披露する。片隅では鎌倉の砂川(所司)さん、神戸の井上(佐々木)さんのマドンナ2人が松影夫人と親密な

女性同士のお話。内容は不明。かたや何でもご存知の小泉さんは小橋さんと談笑中。 地元の諏訪交響楽団でチェロを

弾いていて、さらにフルートの個人指導を受けている松影さんは、フルートで「シチリアーノ」を一曲。チェロと原田さん

のピアノ伴奏で「出船」も披露。その後は、松影さん手作りのチーズケーキにコーヒーを飲みながら奥様の美しい歌声

「時計台の鐘」も聴かせてもらった。そういえば、大手前の校歌も歌ったような。一番は何とか歌えても、二番はあやふや。

時の経過は容赦ない。さんざん食べ尽し、飲み尽してから、漸く12名は帰る気になった。宴が始まってから5時間近く経っていたろうか。

 飲んでいない松影夫人に今度は車で「近く」のペンションまで送ってもらう。

歩きたい物好きは、ペンションに通じる広い

車道まで松影さんに送ってもらう。小泉さん、福知さん、広岡さんと和泉。期待した星は残念ながら雲がかかって見えず。

近いはずのペンションまで30分はかかったろうか。松影さんの「近い」は、蓼科住まい8年とあっては、

すでに悠々自適人の感覚に限りなく近いのではなかろうか。

 

ペンション名は「けさらんぱさらん」なんじゃ、さっぱりわからん。2階の

一室でまたおしゃべり。小橋さんと田中さんは

それぞれの世界一周の話に夢中。小橋さんは2年前に夫婦で、田中さんは1人で。11時半ようやくお開き。

こうして1日目は無事終わった。

 

86() 快晴

 

 6時ごろほとんどの人が起き出したようだ。さすが、古希を迎えると目覚まし時計も必要なくなる。田中さんと和泉は

30分遅れで起き出したが、みんなペンションの前で駄弁っていた。2人で三井の森を30分ほど散策する。吉永さんは

面白い形の松ぼっくり拾い。いい趣味である。

 

ペンション前の車道に沿って直立する樹木は、開発される前の鬱蒼とした

森を彷彿とさせる。このあたり蓼科高原は

縄文遺跡の宝庫だそうな。

 

 洋朝食を済ませた頃、早くも松影さんが姿を現し、本日の行動計画の打ち合わせ。今日のメインは諏訪大社。2台の車で

西に向かう。昨日と同じく松影さんの臙脂色の車に、田中さんの白のVOXYがつかず離れず付き従う。

 

 諏訪大社は信濃国の一乃宮で我が国最古の神社の一つ。全国に分社一万社を数える総本社。上社が諏訪湖の南側に

下社が北側に位置して対峙している。上社は前宮と本宮からなり、下社は春宮と秋宮からなる。

最初に前宮(茅野市)、続いて本宮(諏訪市)に参拝する。この間は全て神域と

いう広さ。両宮とも今春6年ぶりの御柱祭で

山から運ばれたもみの木の御柱が木肌もあらわにすっくと立つ。前に2本。後に2本。御柱祭の模様はテレビでご覧

になった方も多いはず。

 

 つづいて藤森照信の設計になるという奇妙な造形のこぢんまりとした神長官守矢史料館に立ち寄る。ここには諏訪大社

上社の御頭祭の際に供物として供される鹿の首や兎の串刺しが展示されている。「神長官守矢が司る祭には遠い縄文時代の

ことだまが伝わっている」「この祭は原始時代からの狩猟・農耕さまざまな信仰が重なりあった複雑きわまりない祭祀で

あるが、ここでは天明4年の菅江真澄のスケッチに描かれたものを復元している」(藤森) 藤森設計の「木の上の茶室」

も遠望した。

 

 とても10分程度の見学で把握できる伝統行事ではない。時間が限られているので、下社は春宮だけにする。ここにも

新しい御柱が4本。近くに不可思議な「万治の石仏」。半球状の大きな自然石に仏頭をのせたユニークなもの。

御柱祭に来た岡本太郎が絶賛して有名になったという。

 

 諏訪大社を訪れたあとは、諏訪湖畔を走りながら下諏訪の「うなぎ小林」を目指す。「上うな重」を食べる。有名店だけ

あって大変に美味しい。店を出る時には外で順番待ちだった。ここでひとまず団体行動は終了。吉永幹事が全行程の会計精算。

 

 JRで帰る橋本さん、小泉さんを茅野駅まで送って、残りの人は予約のバスまで時間があるからと、今朝は通り過ぎた

尖石縄文遺跡に向かう。砥石として使ったともいう尖石を見て、埋め戻された遺蹟の上を歩いて、尖石縄文考古館を駆け足

見学。国宝土偶「縄文のビーナス」、重文土偶「仮面の女神」。

 

 これで全行程終了。一路「中央道富士見」へ。途中、松影さんの心遣いで

女性の要望に応え地元の野菜や土産物の

販売店へ。流石にやさしい。

 

 1430バス停に到着。無事に、最初で最後のマイカーの旅は終わった。

運転手のお2人はさぞお疲れだろう。

 松影ご夫妻、田中さん、原田さん、吉永さん、ありがとうございました。

参加したすべての方、楽しい時間を過ごすことができました。

またお会いしましょう。

                                了 

なお、写真アルバムが下記のURLでご覧になれます。

それぞれ、原田、松浦、広岡が撮影した写真です。

http://www.imagegateway.net/p?p=DuuUXuYrQWS
http://www.imagegateway.net/p?p=FejaceBy8kf
http://www.imagegateway.net/p?p=HcMuJJLPLTS


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おっとこ亭「きりだめソバ」 蓼科山と白樺湖 車山山頂・1925m 松影邸バーベキュー 高原野菜
砂川さんと松影夫人 ペンション前 本宮御柱 万治の石仏 国宝土偶「縄文のヴィーナス」


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