歩く会に参加 71歳から始めた山歩き                    鈴木順子
 
<2月、初めての歩く会に参加>  以前から大手前33年卒のホームページに掲載されている「歩く会」の記事を見て魅力を感じていまし たが、参加する機会がありませんでした。たまたま、宮本貴子さんから「今度は楽なコースだから」と誘って頂き、2月の歩く会に初めて参加しました。中之島周辺の各藩の蔵屋敷跡を見て回った後、大阪城公園 まで歩き梅林を観るというものでしたが、夕食も共にし、「歩く会」の和やかな雰囲気にすっかり打ち解け 楽しく過ごすことができました。
 <3月、初めての山登り 稚児が墓山>  次回3月には、稚児が墓山に登ると知らされ、山登りなど自分の人生では夢のまた夢と考えていた私も 参加したい気持ちになっていました。若いころ病気をしたり車生活で足が弱っていましたから、退職後に は、なるべく買物など車をやめ歩くよう努めてはいましたが、駅の階段などは群衆と同じスピードでは上 がれず休み休みとなる状態ですから、山登りは自信がありませんでした。私が参加することで皆さんに御 迷惑をおかけすることになりはしないか心配でした。
 稚児が墓山について、インターネットで調べたり、山と渓谷社の「関西周辺の山」を買ってきて読んだ りしました。  また、たまたま朝日新聞で登山医学会の山本正嘉氏の「山を歩こう」という記事を読みました。それに は、山を目指すには脚力が大事だから、ウオーキングでは階段、坂道を入れ荷物を背負って歩くとよいこ と、また、スクワットを10回3セットから始め、週3回のペースで続ければ2〜3週間で山に行けるよ うになると書かれていました。山本氏の記事に従って訓練してみて3月の歩く会への参加可否を考えよう と思いました。
 3月に入って、近くの茶臼山古墳(標高186m、我が家からだと標高差80mくらい)をウオーキング コースに選び1日8000歩を目標に歩くことにしました。雨の日以外は毎日歩きました。少し頑張りすぎ ると、膝や股関節が痛む気がして、筋力がないと関節への負荷が大きいと思われましたので、無理をしな い程度に続けていました。3月の歩く会まで3週間の準備では筋力強化には不十分と思われ、当日も不安 を持ちながらの参加でした。
 山川さんからは、靴は登山靴または軽登山靴がよいこと(滑らないよう靴底の波型が減っていないこと)、 ストックもあった方がよい、寒そうだから防寒対策を、トイレはなさそうだなど、行き届いた案内を頂い ていました。また、当日は、山歩きベテランの鈴木久子さんが先導役をして私の調子を見ながらゆっくり 歩いて下さり(しゃべれているからこのスピードで大丈夫と判断されたり)、両足を少し開いて2本のレー ルの上を歩くようにするとよいとか、下りの時は膝が過伸展になりすぎないよう少し屈曲気味の方がよい など教えていただきました。ごろ石など危険を避けて運ばれる足跡を私もそのままたどれば安全に歩ける といった具合で、お陰で無事に標高差400mを登ることができたのでした。山川さんからも基本的なこ とをいろいろおそわりました。水分補給は一度に3口くらいが適当(一度にがぶがぶ飲むと胃がポチャポ チャいう)、足底をしっかり地に着けて歩くこと、ストックの使い方もその都度教えて下さいました。山 を下りたところでは、冷たい水を準備して飲ませて下さり、ほっとした気持ちになったのと、こんなとこ ろにまで気を配って下さっているのに驚きもしました。こんな時、冷たく冷やした水や暖かなお茶など体 温と温度差のある飲物が気持ちよいことも知りました。
 このようなサポートがあって、果たせたことであったのですが、標高400m差を登れたことは、私に とって大きな自信になりました。等高線の入った2.5万分の1の地図を頂き、帰宅後に自分の歩いた跡 を記入していくのも楽しいことでした。不思議に、筋肉痛も疲れも全くありませんでした。
 <4月、牛松山ヘ登る>  次は、亀岡の牛松山(標高629m)で標高差540mほど登る計画でした。稚児が墓山より150mほど 登りは多いのですが、150m程の差がどれほどのものか想像がつきません。少し試してみようと思い、い つものコースを一度に続けて2回上がってみると、小指と薬指の間が押さえられて痛んだり、また、足底 に蛸ができそうな感覚になったりもしましたので、一度にやり過ぎるのはよくないと思われました。少し の無理で取り返しのつかない故障を生じてしまわないよう、自分の体力の限界を試す思いの日々の訓練で した。高度計を手に入れ標高差を確認することで少し気持ちが楽になりました。また、ストックを使用す ることで脚への負担を軽くすることができることも知り、登山用品専門店に初めて行き2本ペアのストッ クを購入しました。そのようにして、気持ちはだんだん高まって行きましたが、体力の向上は遅々たるも のと思われました。  牛松山は登りも下りも急な坂がありましたが無事に登ることができました。当日の事は、ホームページ の4月の歩く会報告として私が書かせていただきました。Bランク評価の牛松山にも登れたことは私にとっ て大きな喜びでした。今の私にとって牛松山は精いっぱいのところだったかも知れないと思いました。登 りも下りも急な坂を踏ん張ったからか、翌日と翌々日には、歩行時に大腿前方やふくらはぎに少し筋肉痛 がありましたが3日目にはもう感じなくなっていました。
 <これから そして「歩く会」のこと>  今後さらに力をつけられるのか、あるいは年齢を考慮すれば、これを維持するのがせいぜいかも知れま せん。本格的な山登りを考えようとは思いません。しかし、山林を渡る風の清々しさ、積もる落葉を踏む 快さ、自然の中に分け入る愉しさを、安心できる仲間と一緒に経験できるのは何とうれしいことでしょう。 私にとって夢のまた夢であった山歩きを、71歳にして始められたことを大変幸せに思っています。
 後方を歩いているベテランの方が、前方を歩く人の歩き方で気づかれたことを、それとなくアドバイス していかれるのも知りました。初心者が初めて参加したときから、安心して打ち解けてやっていける雰囲 気が漂っています。山川さんの献身的な働きに加え、それを支えようとする人達が集まっていると言えま しょう。この「歩く会」は10年前から始められ、既に76回もの会を重ねています。
 同級生というのは、高校時代そんなに親しかった人でなくても、若き時代に学び舎を共にしたこと、ま た、大きく変化した同じ時代を共に生きたということで親近感を持つことができるように思います。皆、 等しく古稀を過ぎています。何らかの病気の既往歴のある人、関節に故障のある人、成人病をかかえてい る人等もまじえ、夫々が自らの体調に合わせ、毎月選ばれるコースの難易度を考え、参加を決めていけば よいのです。人生の秋の楽しみのひとつにこれを加え、心豊かに生きていきたいものです。
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