2009.09.05 田中信昭

     船旅の自由帳6〜アンコール遺跡〜

9月2日から3泊4日で「アンコール遺跡めぐり」のオーバーランドツアーに参加した。

ベトナムのダナンから本船を離れて我々39人(プラス添乗員一人)は空路カンボジアのシェム・リアップへ。久しぶりのデラックスなリゾートホテルでバスタブに浸かりありがたい気持ちを味わった。

3日早朝4時半にホテルを発ってバスで20分ぐらいの「アンコールワット」へ日の出を見に行く。勿論まだ暗い中興奮気味に寺院の外堀をわたり、日の出を待った。辺りがうっすらと白染んできた中に例の写真やなんかで見慣れたあの建物の姿が浮かんできた。午前6時日の出の時間となったが残念ながら雲に隠れて太陽は見えず!薄明るくなった広い敷地内を散策して一旦ホテルへ。

これから毎日午前と午後に一回ずつ周辺の有名な遺跡を順番に見て回ることになる:

 1)   アンコールトム

 2)   アンコールワット

 3)   プノン・パケン (夕陽の丘)

 4)   バンデアイ・スレイ

 5)   タプローム

 6)   ロリュオス遺跡 等

日本の平安末期から鎌倉時代の頃建てられた石造りのヒンズー教と大乗仏教の寺院。

石は火山岩と砂岩の二種類からなり石積みの壁に施された彫刻が凄い!その数と克明さ。

有名な「東洋のモナリザ」はバンテアイ・スレイという幾分小さめの遺跡の奥の壁にひっそりと鎮座していた。一番気に入ったのは後半の「タプローム」、ジャングルの中で見つかった崩れかけた遺跡。ガジュマルの大木の根が複雑に石垣に絡みつき、正に「インディージョーンズ」の世界に紛れ込んだ雰囲気。問題はこの雰囲気を壊さないでどうやって保存するか、木を排除して寺院を復旧しても意味がなさそう、かといってこのまま放置したのではやがて樹木が勝って完全なジャングルに戻ってしまうだろう。今保存グループがやっていることは木の高枝を切ることだった。樹木は枝の大きさに合わせて根を張る?

それにしても暑い!特に2日目の午前中までは全く全身汗みどろ、大変ハードな遺跡見学となった。幸い後半は夕立があったのとこちらも覚悟ができてきたのとで何とか耐えられたが、体調を崩した人が何人も出た。30年前にメキシコのポサリカで過ごした亜熱帯の高温多湿の経験がものをいって至って元気。それに毎日昼食後はホテルに帰ってお昼寝タイム。毎日ひっそりと空いたデラックスプールに浮かんでいる時間が至福の時だった。

スケッチをする時間がほしい!しかし残念ながら道具は船の中。

帰りは空路シンガポールへ。シェム・リアップの空港を飛び立つとき丁度窓からきれいな虹が見えて感激。同じ船から別なオプショナルツアーでカンボジアを訪れたグループと一緒になり、帰りの機内は専らその話を聞いた。称して「地雷検証ツアー」、地雷は主にカンボジアの北の国境地帯に埋められているという。その辺りまでジープに分乗して3時間半、ガタガタ道、途中でエンコもあったりして正にサバイバルツアーだったとか。地雷撤去の現場を見、地雷の爆発実験もあったという。ショックで泣き出した若い女性もいたと聞く。大がかりな地雷撤去の機械(戦車のような)よりも草刈り機がほしいという生の声は現地の人にしかわからない苦労なのだろう。カンボジア政府や一部の資本が支援物資に関税をかけたりして搾取している実態もあるそうで、なかなか難しい国情を垣間見た(聞いた)

同じカンボジアを訪問しても「観光組」と「検証組」とのこの落差!

ダナンからの本船のシンガポール到着が遅れて、まだ船はシンガポールに着いてない、我々はお陰でシンガポールのホテルに思いがけず一泊することになった。ラッキー!の歓声。と同時に、オイオイ

この先この船は大丈夫かな、まあ急ぐ旅ではなし、ケ・セラセラで。

9月15日追記

アフリカへ向かう船中の盛り沢山の企画の一つに「カンボジア地雷問題検証ツアー」報告会というのがあった。帰りの飛行機の中で話を聞いて大体判った気でいたが、改めてこの国のかかえる問題の複雑さと困難さを教えられた事に加えて、充実した報告内容、まとめ方のうまさ、PC始め映像技術を駆使した感動の伝え方、改めて若者のパワーに感動した。お祭り騒ぎばかりでなくなかなかやる!

                           

inserted by FC2 system