2009.10.11 田中信昭   

船旅の自由帳21〜イタリア・カプリ

ナポリの駅裏のホテルに一泊後、翌日は7:45チェックアウトで、早々にカプリ島行きの船に乗る。

約50分でカプリに着いても、とにかく急げ急げ。他の大勢の観光客と競争で要領良く早く小型バスを確保して乗らないと後はいつになるか判らないと脅かされる。天候がイマイチ、今までの旅行はいつも天気に恵まれていたが、今日は朝から雲が多く時々ポツポツと降って来るかと思えば又日が射す。古代ローマの皇帝アウグストゥスやティベリウスが別荘を築いた歴史ある保養地、余程素晴らしい景色が待っていると期待して絶壁の細い道路を上がって行くが、うーん、これが?

やはり天候がこんなにも影響するんだ。問題は「青の洞窟」だ。天候がこんな調子だからとても駄目だろうと現地のガイドも口を揃えて言っている。暫く時間待ちをしてとにかく行ってみようと絶壁に近い道を海岸辺りまで我らのツアー60人強のバス数台だけが降りて行った。

青の洞窟

峻嶮な岩肌の奥に隠された秘密めいた場所、洞窟の入り口は高さわずか1m、幅も1.5mぐらい、ここを小舟ですり抜けるように入ると中は一面の深い青の世界。この幻想的なブルーは、洞窟の狭い入り口と太陽光線が生み出す自然の神秘。わずかな隙間から差し込む太陽光線が水底で屈折することで、海面全体を深い青に染める。近年、この洞窟から海神ポセイドンとトリトンの彫像が発見され、ローマ時代に壁を装飾していたものと推測されている。とするとアウグストゥス帝やティベリウス帝も青の洞窟で優雅な水上の宴を楽しんだのだろうか。と日本で仕入れてきたガイドブックはその魅力を表現している。中に入れる確率は10月で67%!11月になると30%に落ちると。

小舟が一艘だけ浮かんでいる。船頭さんがちょっと様子を見に来て、あ、これは入れるぞと商売を始め、今仲間の船を呼び集めている所だと聞く。何とラッキーな!早速我々の列の先頭から乗って中へ入れることになった。しかし見ていると定員は5名、自分は偶々この行列の最後尾。果たして、、、平静を装いながらも内心やきもき、そのうち最初に入った人たちが上がってきてみんな興奮気味「よかったー!」「きれいだったー!」   中にいるのはほんの5分足らずか、やがて小舟が4艘ばかりやってきてようやく列の進みも早くなってきた。他のツアーは諦めてしまったのか目下のところ後に続くグループはいない。

いざ青の洞窟へ

順番がきた、船頭の指示に従って手漕ぎボートの床にべったりと尻を付き低い姿勢で進む。洞窟の入り口は直ぐ近いが何とも狭い、あそこをくぐるの?船頭の合図で一段と頭を下げ、彼も仰向けになりながら、中から引っ張ってあるロープをよいしょと手繰り寄せる。あっという間に洞窟の中、

何と海面全体が神秘なブルーに輝いている。夢中でカメラのシャッターを切る。ビデオも回す。見とれているうちに直ぐボートは向きを変えて入り口に向かう。もう出るの?

カプリの空も晴れ上がって成程と満足な風景を充分に楽しみ、おいしい昼食とワイン。どんなにこの島が気に入っても もうどんな富豪も建物はこれ以上建てられないという規制ができたそうだ。

名残を惜しみながら、又船でナポリに帰り、バスは次のローマのホテルへ向かった。  

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