主題;火星の現状から、地球の将来を推測する
                                                      堀北隆司

昨年から今年にかけて、NASAの火星探査機による火星のデータが数多くオープンになりました。これらの情報から、火星の現状を推し量り、そのあと地球の未来を推測してみよう、と考えた次第です。

「地球の行く末はどうなるのか」これは、今まで多くの人が考えたことがある命題の一つであると思います。

天文学では、あと50億年以内に太陽の赤色巨星化が起こり、地球は膨張した太陽の中に呑み込まれ灼熱の状態になるであろう、またその頃には、現在230万光年の遥かな距離にあるアンドロメダ銀河と、我が太陽系が存在する銀河系が衝突する、ともいわれています。

また数千万年に一度、地球は小天体との衝突を経験していて、約3000万年前に衝突して以来、そろそろ次の衝突が起こる可能性大である、という見方もあります。

ある気象学者は、今の温暖化が進むと数百年〜千年以内に大氷河期が全地球を覆い、その後は永遠に氷河が溶ける事は無い、とも言っていますし、南海地震や阪神大震災の比ではない中之島断層地震も2050年以内の可能性が極めて大きいとも言われています。

一方汚染され、環境破壊が進む地球を逃げ出して、火星に移住しようという、火星のテラフォーミング計画なるものも、国際学会で学者が真面目に研究討議しているようです。

私は現在、仕事の第一線を少し離れ、ここ数ヶ月若干の時間の余裕が出来ました。最近公開されつつある、VikingMars path finderMars global surveyor(文末注参照)による火星の現状の観測データや映像をもとに、internetや図書館などで調査し、今までに感じていたこと、私なりに愚考した結果を公表して皆様の批評を得てみたいと考え、山川さんはじめ同窓数人の方々に相談したところ、やってみたらということになり、この度同期の皆様のお眼を煩わせることになりました。

天文学者でも地球物理学者でもない私の素人考えですから、しかも体系的な学習をしていない、興味心でのみ得た知識と思いつきの主張故に、間違いも多いと思いますが、素人の主張なるが故に、世の中にはたいした影響も与えないでしょう。また私の推測の検証はおそらく数億年先のことであり、その頃は私も同級生諸氏もおそらく生きていることはないので、この考えが的外れであっても、非難は私の耳に入らないだろうから、私が得意とする独断と偏見の主張を敢えて行ってみようと思います。

文中、http/htmlが出てきますが、この活用法は、ctrlキーを押しながらこのhtmlをクリックすると、internetから楽しい情報が得られるので是非活用して頂きたいと思います。

このhttp/htmlは、このような話題に普段接する機会が少ないであろう方に、internet内の視覚情報をご提供して、拙文の飽きを繋ぎおくために挿入したものであり、存分に活用いただきたいと思う次第です。画像情報を本文に掲載するとantivirusが過剰反応してはじかれるので、このような方法をとりました。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/mars_exploration/  記事top

http://www1.ocn.ne.jp/~kawamako/kaseiclub.htm  火星倶楽部

1.火星に於ける生命体の存在可能性について
 高校時代の世界史で、ジョルダノ ブルーノという哲学者が、地球外生物の可能性を言った事で火あぶりの刑に処せられ、ガリレオが宗教裁判にかけられ、「それでも地球は動く」と言ったことを記憶されている方も居られると思いますが、今やローマ法王庁が地球外生命体の探索に乗り出している時代です。

NASAによる97年、03年の Mars path finderによる火星探査結果により、現在公になっている情報から考えると、火星には生命体が存在した形跡は今のところ認められないということです。

しかし南極で発見された、火星から飛来してきたという隕石には生物の化石らしきものが付着しており、これが火星に生物が居たと言う根拠にもなっているようです。

http://www.astroarts.co.jp/news/2004/05/10alh84001/index-j.shtml 火星の生命体の記事


 38億年前に地球上に光合成を行うシアノバクテリア(藍藻)が現れました。この藍藻は、ストロマテライトなる積層岩石を生成しつつ種々の海藻類、サンゴなどに進化して、当時の地球の中性または還元性大気の中、おそらく鉄分も還元性の酸化第一鉄成分が多く存在していたでしょうが、それらを酸化し海底に沈殿させ、現存する鉄鉱床(オーストラリアのハマスレー鉄鉱石鉱山など)を生成させながら、地球の大気を30億年以上の時間をかけて、金星、火星など他の惑星同様のCO2主体の大気環境から、地球独特の酸素リッチな環境に変え、オゾン層を形成して生命体の遺伝子を紫外線から守り、生物進化の環境条件を作り上げたと言われています。

http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2002plantevo/virtual/2/2_1_1.html シアノバクテリア

http://www.lalanet.gr.jp/nsm/stromaotlite.html シアノバクテリア

この酸素主体の大気になったおかげで、約4億年前に水中から地上に植物が進出し、植物繁茂を生み、その恩恵を受けて、進化した人間を頂点とする動物の世界が地球上に実現したのである、といえるといわれています。

地球では56億年前、後期カンブリア期の海中で進化爆発があったと言われていますが、これは、地球誕生以来30億年以上続いた二酸化炭素主体の大気と海中に、やっと酸素が満ち始めて、酸素を呼吸する魚介類の生存環境が整ったからであろうと考えられます。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand/2989/life2.html;進化爆発

http://www.brh.co.jp/experience/seimeisi/29/ss_3.html;進化爆発

生命体の進化は、環境の激変がそのことを強く促すらしい。例えば、これまで何度も地球を襲った隕石の衝突などのたびに、生命体の種は飛躍的な進化をし、高等化し続けてきたと言われています。

特に数十億年を掛けて、シアノバクテリアとその後の海藻類により、大気や海中が二酸化炭素ガス主体から酸素主体に変わったことは、酸素は強い酸化作用があり、それまでの二酸化炭素ガス環境下で生きてきた全ての生命体には猛毒であったはずです。それまでの生命体にはこれは強烈な環境変化であり、生命体が新たな環境へ適合するため劇的に進化する、十分な条件と時間が与えられた結果でしょう。

恐竜が絶滅した原因として、今大勢を占めている説は、約6500万年前に地球上に直径約10キロの隕石が落下して、地球上に大津波、大火災、気象の大変化が数十年続き、それまで地球上を1.5億年以上我が物顔に生きていた恐竜が絶滅し、トリコノドンというねずみ程の大きさの哺乳類が生き残り、これが進化して現在生存している全ての哺乳類共通の祖先になると言われています。

http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040528301.html 恐竜絶滅

http://www.crc-japan.com/research/z-dino/  恐竜絶滅

序に述べると、中央アフリカの森林は火山造山活動により約1500万年前に分断され、新しく出来た山脈の西側は多雨のため森林が残り、東側は乾燥化してサバンナになったようだ。このとき樹上に居た人類とチンパンジー共通の祖先であるプロコンスルという猿も山脈の東西に分断された。東側の森林に残されたプロコンスルは森林の消滅とともに約5600万年前に樹上からサバンナに降りて、直立歩行を余儀なくされ人類に進化したらしいが、森林が残った西側のプロコンスルは樹上生活を続けて、チンパンジーに進化したようである。

http://kawa3104.hp.infoseek.co.jp/purokonsuru.html;プロコンスル

http://www.geocities.co.jp/HeartLand/2989/life8.html;プロコンスル

平地に降りた人類の祖先は、それまで敵の少ない樹上でのんびりと生きてきたため、地上で生きて来た草食動物ほど、敵から逃げるための脚力も無く、また猛獣と戦えるほども強くなかったので大変な苦労をしただろうが、それを補う知力で生き抜いたのでしょう。

このように、生活環境が逆境にあるほど生命個体の種は、進化して生存力を強めてきたと言えるようです。

このことは、戦後の苦しい時代を経験して今の世を見ると、我々世代の50年程の日本の歴史を見ても、首肯できる真理といえるのかもかもしれないものです。


 地球上の大気と火星の大気を比較すると、火星の大気の組成中に単独の酸素がほとんど認められないのは、二酸化炭素を酸素に同化する光合成を行う植物が火星上に現れたことは無かったといえるようです。
 であれば、大気の中に酸素リッチな環境変化を経験していない火星では、生命体が存在したとしても、地球の初期カンブリア紀に発生し、今でも地球上の温泉熱湯や海底火山付近に生存していると言われる、硫黄化合物や水素などをenergy変換媒体とする、酸素を必要としない、進化初期の微生物程度の生命体は存在したかもしれないが、それ以上に進化した生命体は、今まで火星には存在したことはなかったのではないか、と言えるのではないでしょうか。

2.火星の現状に対する仮説・水と大気について、及びそれらの行方について

生命体には、液状の水が不可欠だとすれば、太陽からの距離としては、地球や火星は常温状態を生み出す理想状態と言えます。「かって火星表面には多量の水(海)があった。」とNASA0432日発表しました。地球は現在も火山活動があるが、火星では過去5億年前まで火山活動があったが、それ以後今は火山活動はない、と言われています。

ということならば、火星の地殻中心、マントル、マグマ層などは冷却固化して冷たくなっているか、(既に固化直前に近い末期的な状態で)冷却が進行中だと言えると思います。

地球上の太陽光が届かない海底近くでは、現在も活発に活動している海底火山による熱供給があり、また前述のように100℃近い温泉には現在でも、酸素を必要としない生命体が存在しているようです。

http://www3.justnet.ne.jp/~hagiya/mizu8.htm 火星の大気

http://www.planetary.or.jp/HotTopics/topics040414_2.htm 火星の大気

このように、生命に対しては地球と火星は非常に似た優しいマイルドな環境であったといえるし、地球上には酸素リッチな環境になる前に生命体が存在していたのですから、火星も同じような生命体が存在していたのではないか、ということ否定することはむしろ不自然であると考ます。

NASAの発表では、火星における海の存在は公にされたが、それが何時まであったか、その水がどこへ消えたかということが、確定できないでいるようです。一部は永久凍土として地表近くに留まっているという説もありますが。

http://basalt.cias.osakafu-u.ac.jp/thesis/suzuki1999/node6.html  水の存在主張

http://www.astroarts.co.jp/news/2004/03/03opportunity/index-j.shtml

http://www.nao.ac.jp/nao_news/data/000703.html

注;いずれもNASAによる火星探査機。

Viking1970年代、PathfinderGlobalsurveyor1990年代〜2003年にかけてNASAが火星探査のために打ち上げ成功しました。97年のpathfinder以降は火星到達後、パラシュート、エアーバッグの組み合わせで、地表で大きくバウンドしながらlanderが着地して、太陽電池パネルを開き、カメラで辺りの景色を撮影しました。その辺りは、川の流れの跡らしく、丸みを帯びた岩石が転がっていました。その後地表上をローバーが動き回り、精密な写真を撮り、土壌の分析を行いました。

http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt27/index20040507AS1G0700307052004.html探査車火星に到着

http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/02/23/004.html ローバー写真

http://marsrovers.jpl.nasa.gov/home/index.html  ローバーmission

以下、次回に続く。

inserted by FC2 system