晩秋の伊予への旅            
                        納富淑子 

気がつけば 人生のたそがれともいうべき時にあり けれども日没まではまだまだ間がありそうで美しい夕映えをゆっくりと楽しむことが出来る 黄金の秋にあるとも思えます。限りある命を悔いなく過ごしたいと思う今日この頃です。








先日JTBのパンフレットで「伊予の秘境 美人の湯 鈍川(にぶかわ)温泉と霊峰石鎚」というのを見つけ 渓谷の写真と紅葉の山の写真に惹かれ これは温泉に入ってしっかり磨いて来ようと夫と共に11月の下旬 この上ない晴天に恵まれた二日間の旅行を楽しんできました。坂の町 尾道では千光寺公園の展望台から眼下に広がる瀬戸内海と点在する島々や橋のパノラマを楽しみ、次いで尾道から今治までを大小10本の橋でつなぐ「瀬戸内しまなみ街道」を走りました。生口島の耕三寺に詣でましたが日光の陽明門や平等院の鳳凰堂などを模倣して作られた30まりの極彩色の絢爛豪華な堂塔は ご母堂の菩提を弔うための建造物と知り世の中変わったことを考える人もおられるものだと面白く感じました。今治の手前 来島海峡大橋がよく見える大島・亀老山展望所からおりしも海に沈み行く夕日が空を染め 息を呑むような美しさです。

道後温泉の近くにある鈍川温泉に宿泊、温泉を楽しみました。無色無臭の滑らかな肌触りのお湯で古来より美人を作る不思議な温泉と言われています。効果を期待して三回も入りましたが そのとおり 翌朝肌がツルツルぴかぴか。

早朝 鈍川渓谷を散策。緑なす山々に囲まれ清らかなせせらぎの音と小鳥の声だけがこだまする渓谷です。今年は暖かいのか紅葉がもうひとつでした。鈍川からバスで一時間あまり 西日本最高峰の石鎚山に向かいました。山麓からロープウエイで8分、一気に1300メートルの高さに登ると 眼下に周囲の山々や遠く瀬戸内海や島々など、青空のもと絶景が広がっています。最高峰は1982メートルですが、今回は残念ながらそこまでは登りませんでした。

最後は金毘羅さん。七百数十段の石段をえっちらおっちら上り詰めるとまるでご褒美のようにきれいな景色を見ることが出来ました。拍手をうって一杯お願い事をしましたが お賽銭が少ないからご利益がないかもしれません。

帰路は大鳴門橋を渡って淡路島 そしてとっぷりと日が暮れてイルミネーションに美しい姿をあらわした明石海峡大橋を過ぎれば旅もほぼ終わりです。

二日間 私の横にはぴったりと夫がいてお互いストレスになるなどと冗談を言い合いましたが共にある日々をこの上なく貴重なものと思いました。7歳年上の夫は今も現役で仕事をして歳の割には元気一杯です。 

今春の私の大手術では主人が本当に心配してくれ、お陰で無事元気な身体に戻れました。これからは私が主人をいたわっていかねばと思っています。
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