第82回 「歩く会」  宇治  平成23年12月14日

紫式部が「源氏物語」の最後の舞台に選んだ宇治。今も物語の雰囲気を色濃く残し、

平等院・宇治上神社は共に世界文化遺産に登録されています。今年最後の「歩く会」は

宇治川沿いの名刹を巡りつつ 雅な平安貴族の世界を楽しみ、宇治川上流にある

「天ケ瀬ダム」や静かな「もみじ谷」を歩きました。

12月14日(水)前日までの悪天候の予報が、予想外の快晴、無風で暖かい小春日和になりました。京阪電車、淀屋橋発9時40分に乗車し、京阪宇治駅に集合したメンバーは総勢23名(男性9名、女性14名)。今回のリーダーは入念な下見をして案内して下さった田中 秀和さんです。

10時40分スタート。宇治川右岸沿いの朝霧通りを進むと「宇治神社」の朱の鳥居が見えてくる。参道の両側には源氏物語「宇治十帖」を解説した木の説明板がズラ―と建ち並んでいる。この一帯は宇治十帖の「八の宮」のモデルと言われている「菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)」邸宅跡と考えられている。十帖は光る源氏の子の「薫」と競争相手の「匂の宮」が宇治川を背景に八の宮の娘である大君、中君,浮船との悲恋物語で、儚さが漂っています。今日の歩く会無事を祈り参拝後、左手に抜ける「早蕨の道」(源氏物語散策の道でしっとりした雰囲気の中、ゆかりの古跡、神社が点在)と「宇治上神社」です。菟道稚郎子、応神天皇、仁徳天皇の三柱をお祭りする世界文化遺産指定区域は社の後ろの木々の景観も含め境内地・建物全てで、日本最古の神社建築の本殿と拝殿は国宝です。「宇治」と言う地名は、かつては{ウサギの道}「菟道」と書いて「うじ」と読みました。御祭神の一柱であられる「菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)」は昔の漢字の「()()」と書きます。それでお守りやおみくじなど「うさぎ」が並んでいました。参拝後 右岸に戻ると百人一首で有名な喜撰法師の歌碑があり「わが庵は 都の辰巳しかぞ住む 世をうじやまと人はいふなり」の歌が刻まれていました。川の中州「橘島」に架けられた朱塗りの「朝霧橋」が周りの景観とマッチして実に美しい。「きれい!」と感嘆の声が聞こえる。宇治川の流れは この辺りでは水流が早く水量も多い。水音もかなりのもの。今年は紅葉が遅く 幸いなことに今日も赤、黄、茶と名残りの紅葉が陽の光を浴びて照り輝き見応えがある。300メートルほど上流の「観流橋」の辺りに凄い量の水が轟音を響かせ真っ白の水煙を上げ ドドーと川に流れ込んでいるのが見えた。左手奥に宇治発電所のレンガの建物が見え、宇治川の水量が多かったのはその所為らしい。ここより上流は急に水流が穏やかになり、翡翠色の川面が鏡となり山や紅葉を映していました。

ほどなく左手に石門が見えてくる。「琴坂」の緩やかな坂を登ると竜宮造りの山門が立つ。道元禅師が最初に開いた曹洞宗「興聖寺」。立派な鐘楼や石を多く配し整然とした庭園に目を奪われました。禅道場のある寺の建物も立派で名刹である。一度座禅とやらを体験したいと ふと思いました。

「歩く会」のメンバーの中には名カメラマンやウーマンが多くおられます。今日は立ち寄り場所が多いので あちこちでカシャッ、カシャッと盛んに撮っておられる様子。後でHPで見せていただくのも楽しみです。

天ケ瀬吊り橋を渡りトイレ休憩後 今度は左岸道を歩いて「天ケ瀬ダム」を目指す。天ケ瀬ダム発電所の辺りは絶好のビューポイントですね、紅葉を背景に二グループに分かれて記念撮影。更にダムまで登り坂がうねうね続き12時20分に到着。55年前に建設され堤高73m、堤頂長254mで集水面積は日本一だそうです。

昼食。平凡なコンビニ弁当がこんなにも美味しく感じるのは今日が色々な好条件に恵まれたからだと改めて感じました。拡声器からクラシック音楽が流れている。ここにいるのは我々だけなので元気なシニア達にサービスしてくださっているのか? 昼食後 番人(ゴメンナサイ)に任せて手ぶらで「天ケ瀬森林公園」に登り 展望台から素晴らしい景観を楽しむ。眼下にアーチ型のダムとダム湖「鳳凰湖」が静かな湖面に空の青や紅葉した周囲の山々を映し出し実に美しい。右方向を見れば宇治の川、町や紅葉した山々を遠望出来、心地よい。

13時30分出発。今度は左岸道を引き返し、20分程で左の「もみじ谷」の道に入る。これが素晴らしい道でした。踏みしめると落ち葉でふわふわして気持ちよく ほとんど平坦と言ってよい歩き易い道です。右手には渓流があり、紅葉も此処彼処に見え、木漏れ日も優しい。そして静けさの中 時折小鳥の鳴声がする。20分ほどで「白山神社」に着く。休憩後有名な世界文化遺産「平等院」へ向かう。15時30分到着。16時30分まで自由行動。殆どの人が平等院を拝観しました。藤原頼道が父道長の別荘を寺院に改めたもので「鳳凰堂」は阿弥陀堂として建てられました。大屋根には鳳凰が飾られ内部は絢爛な扉絵で装飾されています。名仏師「定朝」作の「阿弥陀如来座像」が安置されている。10円硬貨のモチーフとなったことでも知られる「鳳凰堂」は、阿字池から眺めると極楽浄土さながらに藤原氏の栄華を存分に偲ばせる。とっぷりと平安貴族の風雅にひたってみました。ミュージアムに展示された楽を奏し舞を舞う雲中菩薩像が多数あり 間近に見ると楽しい。極楽はホントに楽しい良い所らしい。庭園もよく手入れされ 紅葉もひときわ鮮やか。皆さん 思い思いに楽しまれた様子でした。

16時30分夕食会場に向かう。途中の表参道の両側は宇治茶の店や茶団子の店、飲食店など建ち並び観光地特有の雰囲気で つい眼がきょろきょろ。夕食は地元の「宇治創」で創作料理。賑やかに楽しく食事し、頃合いを見て山川リーダーから来年の九月頃,ロープウエイやケーブルカーを使って八方尾根、唐松岳に登る案を聞きました。案内役の田中さんからは今日は良かったということや全般的なことを。市来さんは2000m以上の山にも登りたいけれどケーブルカーやロープウエーを使って高度を稼ぎ、そこから頂上を目指したいと言われました。鈴木順子さんは、今回は悪天候が予想されたので雨の日に歩いてみた所、寒さは歩くうちに暖かくなったけれど、靴が濡れ体温を奪う恐れがあるのではと言われました。鈴木さんの前向きな姿勢に感心し、何事によらず 予想されることに対処しておくことは今後ますます必要な事と思います。

帰りの京阪宇治駅でハプニング。会長の山川さんだけを残して電車が発車してしまった。切符を買っておられる間らしい。乗り継ぎ駅の中書島で数人が待つことになった(何故か 飲むのが大好きな人ばかり)。 他の人は先に帰らせていただきました。今日は楽々コースで とても楽しかった。

元気一杯で笑い声の絶えない素晴らしいメンバー達。来年も あこがれの地や山に共に行き 良い思い出を作りたいですね。                                

                                                                                          記  納冨 淑子

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