第41回・立山登山報告
 
報告・森本俊子


平成19年9月11日(火):室堂散策
 ‘歩く会’メンバー 14名 3台の車に分乗し、夫々新大阪、大阪、守口を出発。途中、黒岩SAで合流し、折から悪くなるという天気を気にしながら一路立山を目指し快走!まもなく、車窓から眺める景色のうっすらと灰色に霞んだ前方に立山連峰、剣岳が見えてきた。
立山駅からはケーブルで一気に標高差540mの美女平(977m)まで上り、そこから室堂(2430m)まで高原バスに乗る。ブナ林の中を左手に樹齢1000年の立山杉の巨木、日本最長の滝‘称名滝’を見ながら、バスはぐんぐんと高度を上げていきます。なんと、お天気はだんだんと明るくなり、車窓からは右手に鍬崎山、薬師岳が雄大な姿を現したではありませんか。そして、ついに天狗平辺りでは1ヶ月に一度あるかないかの快晴ということで、バスの運転手さんのサービスストップがあり周りの山々の名前を教えていただけました。前方には雄山を始めとする立山の主連峰がくっきりとその左には剣岳が顔を出し、さらに左に大日連峰、小屋まで見える絶景に皆歓声を上げました。
室堂からは、これから2泊する‘みくりが池ホテル’まで右手に美しい鏡のようなみくりが池(ちなみに魚は棲んでいないそうです)を眺めながら、急いで歩き、荷物を預け、お天気の良い間に少しでも景観を楽しもうと室堂平の散策に出かけました。相変わらず、立山連峰はくっきりと見え、明日登る予定の雷鳥沢から剣御前小屋への稲妻型の道をはるか上に眺めながら「あの小屋まで登るんだぁ〜」、「登れるかしら〜」、「もう、今日こんなに素晴らしい山々を見たから、明日は雨でもいいわぁ〜」とか賑やかなおしゃべりをしながらホテルに帰館。‘みくりが池ホテル’は日本一高い所にある温泉ホテルということで、白く濁った気持ちのよい天然の温泉でした。素敵な和食の夕食にビールで乾杯!〜する頃には窓から山々の間に沈む真っ赤な夕日に、また歓声!!。〜 ところが、なんと雨が降り出したではありませんか。雨を通して夕日を眺める珍しい風景です。そして、この雨は夜中中ずう〜っと 降り続くのでした。
 
平成19年9月12日(水):雷鳥沢→別山乗越(剣御前小屋)→(別山)別山乗越(剣御前小屋)→新室堂乗越→雷鳥沢→地獄谷
一晩中降り続いた雨は降り止まず、8時30分出発予定を9時に変更。大半の荷物をホテルに残し、全員上下雨具にリュックカバーも着け、万全の雨対策をし、土砂降りの中を散策のつもりで屋外へ〜。何とまたまた、寸前まで降っていた雨が止み、晴れてきたではありませんか!!
予定どおり別山乗越の剣御前小屋を目指して出発。ほどなく、浄土川を見下ろす高台で雨具を外し、いよいよ本当に出発!
雨で増水したにもかかわらずエメラルド色のきれいな水の流れる浄土川の一本橋を渡り、雷鳥沢の急坂を登り始めます(9時40分)。木陰もなく遠くからジグザグの稲妻型に見えた小石のガレ道を山の強い陽射しを浴びながら、ひたすら剣御前小屋を目指し登り始めました。
ペースメーカーの山内さんを先頭に、一歩一歩ゆっくりとひたすら登ることのみに専念する人、途中の景色を眺め写真を撮りながら登る余裕綽々の人、一生懸命頑張って登る人、大体三つぐらいに分かれたかと思います。遮るもののない道は常に先頭と最後尾も視界に入り、振り返れば室堂平〜雷鳥沢の美しい景色と遠くの山々が見え、吹く風はひんやりと冷気が肌に涼しく、喘ぎ喘ぎながらも気持ちよく、約2時間で先頭が剣御前小屋に到着(11時45分)!ほどなく、全員無事に到達!ここで、今までの登りの辛さも忘れ、立山連峰、大日連峰、剣岳、後立山連峰等々と360度の眺望を楽しみながら昼食。
昼食後、同じような小石のガレ場の尾根道を別山(2874m)目指して出発(12時20分)、食事後の登りはしんどかったが全員頑張りました。2〜3のピークを越え、別山手前のピークで大休止(13時)!ここからの眺めが素晴らしく、遠くは富士山をはじめ、これ以上の山はないといわれる剣岳(2998m)の天を突く岩峰、ノコギリの歯のような岩尾根が目の前に広がる絶景!前方には明日登る雄山、後立山連峰,  槍ヶ岳、八ヶ岳、白山等々と360度、日本の屋根といわれるアルプスの山々が全て眺められ息を呑む美しさでした。空はあくまで澄み渡り、たなびく白い雲は私達を温かく見守ってくれているような、恐らくこんなに素晴らしい天候と景色に出会えることはまず、ないと思われる至福のひと時でした。筆舌に尽くしがたいとはこういう場面の表現だと思われます。ここまで全員をリードし励まし連れて来て下さった山川リーダーには心から感謝いたします!!
下山時刻を逆算し、ここから戻ることになり、いつもの事ながら、「よくこれだけ登れたなぁ〜」と自画自賛しながら今来た道を剣御前小屋まで下り、小屋からは登ってきた滑りやすい雷鳥沢の急坂を避け、勾配の緩やかで足場の良い?新室堂乗越し経由でひたすら下ることになります。ハイ松の間の山道は山道本来の中小の岩や浮き石のある歩き易いとはいい難い道を濡れた石や草に足を取られないように一歩一歩 踏みしめながら下りました。それでも何人か何回か転んだり滑ったりする者もあり、中には巨岩の落石か、熊の出没かと思われるくらい派手に転がった者もいましたが、当人の機敏な対応で事なきを得ましたが、ヒヤリハットした場面でした。
夏の花は最盛期を過ぎていましたが、それでもイワギキョウ、ヨツバシオガマ、イワツメグサ、ミヤマキンバイ、チングルマ、アキノキリンソウ、次の出番のナナカマド等を見つけながら飽きるほど下り傾斜が弱まったところで、やっと浄土川に到着(15時40分)!橋の上で2本のステッキを掲げ、‘ばんざぁ〜い’ と凱旋の歓声!(ここはフィクションで〜す)全員無事下山!
硫黄臭のする湯煙のあがる地獄谷を、なるべく硫化水素を吸わないように気を付けながら急いで通過、最後の急な階段を登り16時40分に帰館。
温泉に浸かりながら明日も天気らしいという情報!
昨今、中高年の登山ブームで、何処に行っても高齢者に出会えるが、今回のこのコースは剣岳の登山口でもあり、剣御前小屋までは危険な箇所はないもののかなりハードな延々と続く登りで、行き交う登山者も若者ばかり!!全員67〜68歳の、しかも14名ものグループで全員無事に登下山(往復約7時間30分)出来たことは何と素晴らしいことでしょう!!リーダーを初めサポートして下さった男性の方々には再度感謝いたします。
私達もだんだんと高齢になり、‘したい事’と‘出来る事’との間の距離が日に日に開いてきています。何処で線引きするか難しいところですが、50年前に同じ釜の飯を食べ、今、また同じ釜の飯が食べれる仲間が居るということはなんと嬉しいことでしょう!!
一般の登山ツアーでなく、お互いに楽しく、仲良く、力を合わせ、思いやりと優しさをもって、この私達の宝を大切にしたいと心から思ったことでした。
 
平成19年9月13日(金):室堂バスターミナル→一の越→雄山 往復快晴!8時出発。
今日は室堂バスターミナルに大半の荷物を預け、雄山(3003m)登山です。
二つに分けた荷物を持ちホテルを出発、二日続けて歩くことは初めてなので、歩き始めのしんどかったこと! 一瞬、雄山に登れるか?と案じました。
みどりが池の鏡面に写る逆さ山を眺めながら、バスターミナルに到着。荷物を預け、出来るだけ軽装で、一の越の山小屋を目指しました(8時20分)。綺麗に整備された石積みの遊歩道を、右手に今夏の暑さにもめげず残っている雪渓を見ながら歩き、最後のジグザグの急坂を登るとやっと一の越の山小屋に到着(9時15分)。
一の越からは槍ヶ岳、常念岳、燕岳方面がよく見えました。
ここからは、草木のない大きな岩のごろつく登山道に変わるため、ここで居残る二人に荷物番を頼み、空身で雄山へ登れることになりラッキーでした。
ズルズルと滑る砂礫を赤い矢印を探しながら慎重に!足元ばかり見ているといつの間にか×印域に入り、ズルズルと滑り、石を落とし、ここでもヒヤリハットする場面がありました。‘行きはよいよい、帰りは恐い’と思いながらも1時間15分で頂上に到着。好成績の所要時間に皆、嬉しそう!
頂上には立派な神社や売店があり、沢山の若者で賑わっていました。山頂の先には雄山神社がありましたが、頂上参拝には料金が必要でした。どうも大阪人の私達には、この手の散財にはケチで見るだけにしました。ここでも360度の展望が開け、素晴らしい景観に再度感激!大汝山(3015m) の方へ少し回った所では白馬三山も見えました。
下山(11時発)はリーダーに従い、全員一列で慎重に下り、一の越の二人からはへっぴり腰の下山姿を撮影してもらい、無事に下山(12時)!
急いで昼食後、遊歩道をバスターミナルへ。この遊歩道が結構歩き難く、それでも1時40分のバスに乗り、帰路につきました。‘山よさよなら〜♪ごきげんよろしゅ〜♪、また来る時には笑っておくれぇ〜♪’と名残を惜しみながら、まだ鮮やかに見える雄山〜立山連峰〜大日連峰を眺めながら、国際観光地の立山の散策は出来ても、雷鳥沢を登る機会(登れない) はないだろうと、万感の想いを込めて立山を後にしました。
下山後、片山津温泉ソサイアティーで疲れを癒し、美味しい夕食とビールと地酒で何度も何度も乾杯!乾杯! 他愛のない話題で大笑いの連続!久しぶりに五感の隅々までフル稼働させた楽しいひと時でした。
 
平成19年9月14日(金)
往路と同じく3台の車に分乗し9時出発。 降水確率が二日目は30%、三日目に至っては40%と絶望的な天気予報が見事に外れ、めったにない晴天に恵まれ、あまりの運の良さにバチが当らないように気をつけながらお昼前には帰阪。何と大阪は土砂降り!(通り雨でしたが〜。)

1.9月11日 室堂に到着 2.室堂2 3.室堂3
4.室堂4 5.みくりが池に映る立山三山 6.9月12日’ななかまど’が赤い実を付けていた
7.細い橋でびびる松原さん・・・・ 8.雷鳥沢の登り 9.雷鳥沢の登り2
10.雷鳥沢から望む剣御前小屋 11.剣御前小屋に到着 12.剣岳の山容が目前に広がる
13.剣御前から別山に向って 14.別山付近、後ろに小さく富士山 15.同じく
16.9月13日一の越へ 17.一の越から雄山へ 18.雄山(立山)頂上にて
19.降りは難しい 20.一の越の小屋を見下ろす 21.室堂やみくりが池が美しい
注記・写真が多くてどれを選ぶか迷いました。載せられなかったものは表紙に順に載せます。最後の二枚は雄山への登りのものですが、編集がしんどくなったので順序が違っていますがこのままとします。

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